MY HERO’S INTERVIEW

GUEST プロフィール
医療法人社団 緑友会理事長 歯科医師・歯学博士 半澤一明先生
1962年生まれ 東京都調布市出身
1986年 日本歯科大学卒業・修了
日本歯科大学付属病院総合診療科4臨床講師、日本歯科大学新潟病院総合診療科臨床講師、日本アンチエイジング歯科学会理事、公益社団法人日本口腔インプラント学会・社団法人日本歯科麻酔学会・米国審美歯科学会・日本歯科用レーザー学会会員。デンタルケアハンズインプラントセンター・ハンズデンタルクリニック?半沢歯科医院・はんざわ歯科クリニック院長
http://www.handsdental.com
2016年11月19、20日 日本アンチエイジング歯科学会認定BEAUTY ADVISER 2016とし、「容姿管理」を実践するための育成講座が開かれます。


半澤先生には信頼を寄せて家族全員でお世話になっています。歯科医師はどこか職人的な技術が必要なお仕事。知識はもとより、人柄や手先の器用さも大切なことかもしれません。症状を一言話して口を開けるだけで、即座に患部を抑えて下さり不快感なく、歯科医院恐怖症すらも治していただける名医。今回は私の仕事であるエステティックや化粧品などを用いた外からのアプローチの大切さと、実は骨格や内臓への大きな影響もある「歯」の大切さについて、アンチエイジング歯科学会理事理事でもある半澤先生にお話を伺います。

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NO.3 歯並びを大事にしない日本の文化は残念

立河:日本アンチエイジング歯科学会にはいろんな部会があるんですね。(部会はこちら。http://www.jd-aa.net/section.html)そして現在は高齢化社会になりました。お年寄りに対しての目的も何かありますか?

半澤:お年寄りが自立して生きていくには、健康寿命を伸ばしていくことが大切なんです。寝たきりでただ生きているだけでは「長生き」とは言わないんです。健康寿命をいかに生涯寿命に近づけるか、その長生きの健康管理をしていくことも歯科医師の務めです。それにはやはり体の中からが大事で、サプリメントでの腸内改善などもお勧めしています。ですから僕自身も歯だけではなく、栄養学などの勉強もしています。

立河:なるほど。今、腸内環境を整えると言うのは各方面でも提唱されるようになりました。先生がおっしゃる腸内改善はとはどんな目的ですか?

半澤:腸が人間の体の中全てを管理していると言っても過言ではないくらい重要な臓器なんです。食べたものをどこで吸収するかというと腸です。そこを常にいい状態にしておかないと身体中を巡る血液にまで当然影響が出てきます。その腸の働きを助けるのが乳酸菌です。例えば便秘をしているのは老廃物が体の中に溜まってしまっている状態ですね。すると肌もきれいにならないし若返れないですよね。それをきれいに流してあげると身体中にきれいな血液が巡ります。

立河:腸を整えるためにそういった乳酸菌などを用いて改善していく方法もあるんですね。そして、食事を「噛む」ということから影響してくることはありますか?

半澤:食物を摂取するうえで咀嚼はその栄養素の吸収をより促します。よく噛まずに飲み込んでいるだけでは栄養素はうまく摂ることができません。そして「噛むこと」というのは脳へ刺激を与え活性化させるという意味でも大事なんです。だから全く歯のない人と歯のある老人では認知症になるリスクに大きな差が出るんです。

立河:確かお年寄りご自身の歯をどれだけ残すかという歯科医の運動がありましたよね?

半澤:そう。「8020運動」といって80歳まで20本残すのを目標に、というものです。

立河:それはインプラントではダメなんですか?

半澤:できれば天然の歯の方がきちんと神経を通して脳に伝わりますのでそれに越したことはありません。それでも、入れ歯よりはインプラントの方が骨にちゃんと圧力が伝わりますので顎が痩せにくくなったり認知症にもなりにくいですね。

立河:なるほど。歯の神経というのは実は大切なんですね。

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半澤:歯の中の神経が大事というより歯が生えている周りの歯根膜という 歯の根っこ、骨の中に埋まっている部分が大事なんです。そこにサスペンションとして歯を支える役割の「歯根膜繊維」というのが付いています。そのおかげで歯というのは硬い物がぶつかっても折れないようになっているんですね。歯根膜繊維には血液や神経も通っているので脳に刺激を与えるんです。

立河:歯根膜繊維もその役割も初めて知りました。

半澤:歯というのは骨に植わっているわけではないんです。その間にちゃんと歯根膜があるんです。それがインプラントとの最大の違いです。インプラントは骨に直接植わっているのでサスペンションがなく、ダイレクトに力が入るんです。だからガチガチと噛むと上のセラミックが割れてしまったりするわけです。

立河:昔からよくいう、歯の神経を抜くっていうのは経験もあり、そうすることで歯の痛みがなくなるとばかり思っていました。

半澤:感覚や触覚、痛覚なども歯根膜にあるんです。歯の神経にあるのではないんです。よく神経を取っちゃダメと言いますが例え神経を取っても歯根膜繊維は残っているのでちゃんと感覚は伝わるんです。

立河:例えば差し歯をしている場合。自身の歯を残してそこにセラミックを被せている場合はどうなりますか?

半澤:それは歯根膜繊維があります。だから髪の毛一本噛んでも、あ、何か噛んだなという感覚はあるでしょう?それがセンサー役でもある歯根膜繊維の働きです。

立河:なるほど!私、神経を抜いたらもう、歯の感覚はなくなると思っていたんです。

半澤:それは、熱い・冷たいという感覚のみがなくなるだけです。

立河:そうだったんですね。言われてみればそうですね。面白い! 他に、最近患者さんの多い悩みは世代別に特徴などありますか?

半澤:若い世代の方は最近の傾向として、顎が小さくなっているので歯並びが悪くなっていますね。

立河:顎が小さくなっているのはどうしてですか?

半澤:食べるものが柔らかくなってきてるんですね。そうすると咀嚼が減ります。昔は野菜類でも硬いものをしっかり噛んで食べていました。近年ではパンなどふかふかしたもの、柔らかいものばかりを食べているから顎が発達しない。遺伝的に歯の大きさは変わらないのに顎が小さいから歯が並びきらないんです。

立河:そこで歯の矯正につながるんですね。

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半澤:そうですね。それが10代〜20代ですね。あとね、日本の文化で良くないと思うのは八重歯が可愛いという風潮がありますよね。あれは「ドラキュラティース」といって外国では受け入れられないものなんですよ。ガチャガチャの歯並びの方がテレビに出ていたり。オリンピック開催中にも気になったのが先進国であれだけ歯並びが悪い選手やメダリストは世界でも最悪です。そういった意味では日本は非常に遅れています。

立河:アメリカ人はきれいに矯正するのが歯磨きをするのと同じように日常のことだそうですよね。

半澤:それは基本です。そうでなければ仕事にもつながりません。

立河:それはどうしてですか?

半澤:自己管理ができていない、レベルが低いというふうにみなされてしまうんですね。自分の歯並びや歯の健康管理ができない人は仕事をさせても自分の仕事ができないと判断されてしまいます。ですからちゃんと矯正するんですね。 ところが日本では八重歯が個性だとか可愛いという独自の文化を持ってしまって海外では受け入れられないという現実があります。

立河:なるほど。私も人とお会いした時の第一印象として歯並びの良し悪しや白さなどを見ます。確かに好感度が変わってきますね。他に笑った時、歯茎が出てしまうのはどうしたらいいんでしょうか?

半澤:それはガミースマイル(歯茎や歯肉を意味するgumからきている)というんだけど、それも手術などで治せます。

立河:美的感覚もさることながら、歯並びが悪いと体へはどんな影響が出ますか?

半澤:虫歯や歯槽膿漏など。歯槽膿漏になると毎日膿を飲むわけです。すると体の中、血液も汚れます。そして菌血症になり、高血圧、糖尿病の原因につながることもあります。例えば舌下錠というのがありますよね。

立河:舌の下で薬を溶かして早く薬効を出すという方法ですね。

半澤:そう。それは口腔粘膜から取り入れています。それと同じように口の中に繁殖している菌も血液の中を巡るわけです。日本人の成人の8割は歯槽膿漏、歯肉炎にかかっていると言われています。だからみんな多かれ少なかれ菌が回っているんです。だから健康な歯茎、歯並びは大事なのに気にしないでいる日本人の文化は残念ですよね。

取材/文 タチカワ ノリコ
Photo Kaoru Yamamoto


半澤先生がお勧めする乳酸菌サプリ

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