MY HERO’S INTERVIEW

GUEST プロフィール
宮前真樹
1973年生まれ。 ル・コルドンブルーディプロム/江戸懐石近茶流研修科終了/ジュニアスーパーフードマイスター/フードアナリスト3級/食の検定2級/食育インストラクター/野菜ソムリエ資格保有/ 子供食育教室講師・レシピ考案など『食』をメインに活動中。
2010年に青山にカフェレストラン「M.Nature」をオープン。
http://mnature.jp/
2016年〜有機野菜にこだわったサラダカフェ、「代官山サラダ」全てのプロデュースを手掛る。
http://daikanyamasalad.com


真樹ちゃんとは前職でよく一緒にお仕事をさせてもらった仲間。お互いに同じように悩み、決断し、次のステップに進んでいます。今回、共通の友達を介してのご縁で久しぶりに再会できました。相変わらずの可愛さ!久しぶりとは思えないほど楽しくお話させていただきました。

MY HERO’S INTERVIEW

NO.3 ありのままの自分を受け入れる。

立河:芸能界やめてから困ったことってあった?

宮前:うん。辞めてもやっぱり芸能人の「宮前真樹」はずっとつきまとうんだって思った。嫌なことを耳にしても逆にやめてしまったから反論もできないし、どこにも自分の声を届けることができなかったから苦しい時期があったな。

立河:それでどうしてた?

宮前:全然人に会ってなかった。芸能界の友達は誰とも会わなかったな。芸能人ではなくなったから違う世界に行こうと思って、線引きをしたんだよね。だから誰にも連絡しなくなくなったの。かといってプライベートな友達っていないんだよね。どこかに出かけるとしても決まった人とだけ。多分、5年間で一緒にいたのって4人くらい。(笑) だから十代の頃から知ってる友達は空白の5年間みたいで、真樹ちゃん、なにやってたの?って聞かれるの。(笑)絶対に気づかれたくないからいつもノーメイク。本名の宮前真樹っていうのもインパクトがあるから偽名も使ってたし。とにかく触れられたくなかった。

立河:そうよね。本名だとそれ困るよね。

宮前:うん。テレビに出てたんですよね?とか言われちゃうと、この人とは友達になれない、って。友達を作る気もなくて。本当にそっとしておいてほしかったのよね。

立河:聞いてくる方は悪気なんて全くなくて、事実を尋ねてきてるだけなんだけどそれが辛いんだよね。

宮前:そうそう!のりちゃん知ってると思うけどテレビに出てた時の私の印象って明るくって元気で、みんなが話しかけやすいみたいなキャラクターだったでしょ?だからグループの時、一番最初に話しかけられるのは私だったのね。でも実は私が一番人見知りで、一番心を閉ざしているんだけど(笑)みんなそうは思わないから話しかけてくれるのね。だから話せてたの。そんなイメージだから、それで通っちゃうって感じ。

立河:うん。真樹ちゃん、かなりいいキャラだったし、頭の回転が早いから面白い返しをしてくれてたよね。でもわかるよ。必死よね。望まれてるキャラを貫くって。私たち共演する機会も多かったけど、私もご存知の通り、話しかけてくれないと自分からは話せないからさ。

宮前:のりちゃんはさ、なんかお姉さん的な立場で見られるキャラクターだったでしょう?

立河:そうそう。何せね、顔がこれだから。そのポジションだった。(笑)

宮前:本当は繊細でさ(笑)でも画面に映るのりちゃんは“お姉さん”だったからね、そのギャップってあったよね。(笑)でも芸能人をやってる時はそのギャップを埋められるじゃない?近づけていけばいいっていうか。

立河:そうね。キャラクターってどこかは本当の自分ではあるんだけど、でもやっぱり周りの手助けや演出で盛り上げてもらえるからね。それが苦悩の始まりだったりもするんだけど。

宮前:そう。周りにそう見られてるんだからそうなろう、って思うじゃない?だからそこに行くように努力するの。でも辞めちゃったら誰も手を引っ張ってくれないから、怖いときがあったな。しかも芸能人じゃなくなったらそういうイメージっていらなくなるじゃない?

立河:そうね。もうキャラを演じる必要もなく、“自分”だからね。

宮前:そうそう。となると、まあ、閉じるよね。心。(笑)

立河:そうね。となると、誰も話しかけてくれないからね。(笑)

二人:あはははははは!

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立河:それで、3年間自由に羽ばたいて、その後学校に通ったんでしょ?

宮前:そう。コルドンブルーに通いだしたの。そもそも子供の頃からケーキを作るのが好きで、まだタレントだった28歳の時にテレビでケーキ教室の番組を観たのがきっかけでそこに電話して通い始めた時、先生にとてもお世話になって教室のやり方などのノウハウを教えてもらったの。いつかはそんな教室をやりたいなと漠然と思ってたのね。その時にあこがれていたのがコルドンブルーだったの。

立河:それで引退してから本格的に勉強しようと?

宮前:うん。学校に通うことになるんだけど、やっぱり本名だから躊躇するのね。でも友達は一人もできなくてもいいから、とにかく行ってみようと思ったの。でももともとフランスにある学校だからシェフはみんなフランス人だし、呼ばれる時もMakiって下の名前だけなの。だから苗字を言われないから気づかれない。大丈夫かも!と思って。テレビも見ないし誰も触れないから、みんな私のこと知らないかも!やった!って思ってたのね。それからみんなと仲良くなってきてご飯を食べてる時に「真樹ちゃんのCDうちの妹がもっててー」なんてサラッと言われたの。え?みんな知ってたのに今まで黙っていてくれたんだって。

立河:みなさん、大人の対応だね!

宮前:うん。こんな風にお付き合いができるんだなって嬉しかった。だからそこで出会った友達は今も仲良し。

立河:いい話だね。芸能人であったことをひた隠しにしたかったコンプレックスを乗り越えた瞬間だよね。

宮前:そうかもしれない。私はありのままでいいのかなって思えた瞬間かも。閉ざしてた心を開いて、ちゃんと人と仲良くなろうって思った。(笑)

立河:ちょっと心を開いたんだね。(笑)きっとさ、今の真樹ちゃんをサポートしてくれてる人達も、真樹ちゃんという一人の女性として焦点を当ててその人柄とか根性とか、そんな部分を理解してくれてるんだよね。

宮前:だと嬉しいな。この仕事でやろうって決めてからは結構頑張って人に会ったしね。(笑)

立河:頑張ったね。自分から話しかけない人なのに。(笑)

宮前:そう。自分で名刺も作ってみたし、スーツを買ってアポとって企業に行ったりしてね。(笑)

立河:リクルートスーツ!

宮前:36歳の時だったかな。その時はねコルドンブルーでお友達になった人がサポートしてくれて一緒に蒸しパンを作ってたの。それをね、コンビニとかで売りたい!と思って。私たち飲食業界に知り合いもいない、ツテもない、何が流行るかなんかもわからない。知らないからこそ、ただ思いついて、結構な大手の企業に一人でプレゼンに行ったのね。(笑)


取材/文 タチカワ ノリコ
Photo Kaoru Yamamoto

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