MY HERO’S INTERVIEW

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Vol.3『大切なもの』

立河:前回、感動、喜びが大好きだと話してくれました。人にそれを与えるのは容易ではないけれど、テンションを高く保つことでお客さんにそれを与えられる。お客さんが笑顔になると、こちらも嬉しくなるよね。良い相乗効果!私も感受性が強いんだけど(笑)、しんちゃんは感動、喜びって言うのはどんなことから好きになったの?

新海:みんなそうかもしれないけど、両親に周りの人を大事にしなさいとか、思いやりを持ちなさいって教えられてた。特に親父からは、自分より弱い人に絶対に手を出すな、逆に弱い人を助けてあげるくらいの男じゃないとダメだっていつも言い聞かせられてたんだ。そういう心がけが感動、喜びに繋がってると思う。それは与えることも与えてもらうこともね。

立河:素敵なご両親の影響で今のしんちゃんがあるのね。
自分の育った環境って大人になってから深く影響してくるよね。社会に出ると、色んなしがらみがあってそう簡単にできなくなってきたりもするけど、心がけ一つで違うものよね。
さて、新海 義仁。仁義(じんぎ)の漢字を逆にして義仁(よしひと)。これはどなたがつけてくれた名前?

新海:これは親父だよね。義理・人情を重んじてた人でそこはしっかりしてた人だったから。お袋がそう言ってた。2000年のJHA(ジャパン ヘアドレッシング アワード)で受賞した年に亡くなったんだけど。最期まで親父は格好よかったよ。

立河:しんちゃんのお父さんは子供の頃、すごく可愛がってくれた?

新海:うちは、よその家庭と同じように旅行してとか家族で必ず外食するとかそういうの一切なかったけど、子供の頃、裏の公園でキャッチボールしたのが嬉しかった。クサい話だけどそのやり取りだけでも十分に愛情を感じてたからさ。気取ったことなんてしなくたって幸せだった。一番はオレが悪さしてた頃、バイクで事故を起こしてさ、左目に大けがしたんだよね。手術する前の晩、両親が話してる声が聞こえて、親父、「あいつの目がダメになったら自分の目をあげる。目がなくなっても俺についてきてくれるか」ってお袋に話してたのを聞いて申し訳ない気持ちと、そんな風に思ってくれるありがたい気持ちで泣けてきたな。必要以上に多くを語らなかったけど十分に愛情を感じてたよね。

立河:感動するね。それって深い愛情がなくちゃ、言えないことだよね。
そして結婚して家庭をもって。

新海:うちの奥さんと出会った時さ、あまりにも感覚が違いすぎてしょっちゅうケンカしてたよ。(笑)

立河:外資系航空会社のキャビンアテンダントだったのよね。

新海:彼女は英語が堪能だし、外国の文化にいつも触れてるからさ、オレのやることに突っ込んでくるわけ。(笑)でも家族としても、すごく感謝してる。その感覚の違いが今となっては良いと思ってるんだ。

立河:落ち着くところは価値観なのかもね。感覚がぴったり合う人は、世の中にいないと私は思ってる。(笑)一昨年、待望のお子さんに恵まれたのよね!その時はどんな気持ちだった?

新海:気が付いた時には泣いてたけど(笑)、一番はオレが生まれたとき親父はこう感じてたのかなって。

立河:天国のお父さんもきっと喜んでるね。

新海:うん。両親がオレを育ててくれた、それと同じことを経験したかったのね。家族の在り方はそれぞれで、子供がいなくても夫婦で幸せに暮らしていくのもありだと思ってた。

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立河:お子さんの名前は?

新海:仁太(じんた)。オレの義仁の仁を取ってね。

立河:仁太くん!家族の思いが込められてる良い名前。父となったしんちゃんですが、私たちの子供時代と今とでは環境が随分と変わってきてるけど、どんな子育てしたい?

新海:子供が生まれるとよく責任持たなきゃって言う人が多い。それももちろんあるんだけど、一番は愛おしいよね。子供の意思を無視してまでもまっすぐ育てるとか、ちゃんとした子にしなきゃとかも考えてないんだ。その時々にたっぷりと愛情を注いであげたらいいんじゃないかと思ってる。

立河:意外と気負ってない?

新海:全然気負ってない。むしろナチュラルだねって言われるよ。

立河:今流行の言葉でいうと奥様はイクメンパパで助かるって。

新海:うーん。やってることが奥さんのサポートにもなったり、子育てしてることで結果、そうなればいいんだけど、自分の中じゃそれを目的とはしてないかな。カリスマと同じだよね。周りから良いパパだねって言われたいからそうしてるわけじゃない。そんなこと考えてるより、単純に可愛いんだよね。それはオレにしかできないことだからやってあげたくなるし。

立河:仁太くんにはどんなこと教えてあげたい?

新海:オレが両親に教えてもらったことと同じでいいと思ってる。人の痛みがわかって愛情を持って、男だからやっぱりたくましくなってほしい。別に失敗したっていいの。こけても泣かされてもその都度自分で考えて踏ん張れる人、そんな強さを持ってほしい。でも、人は強くないからこそ、強くなることをしないといけないと思う。それは仕事もそうだし、誰か好きなパートナーができたらそのパートナーを守ることができるようになってほしい。言っちゃえばオレだって弱いところがいっぱいあるし、でも頼られた時に頼られた以上は絶対に守らなきゃ、強くいなきゃいけないって思ってる。みんなそんなに強い人いないと思うけど、それなりに強くなる意識を持っていたいと思ってるんだよね。子供にもそうあってほしいと思う。

取材/文 タチカワ ノリコ

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