-ライター:今回のゲスト、都内の総合病院で看護師長を務められている、佐谷みゆきさんとの出会いのエピソードを教えて下さい。
立河宜子(以下、立河):2001年の夏、仕事でインドネシアへいったのですが、帰国直後に急性胃腸炎にかかり救急搬送された時が最初の出会いです。入院中、色んなお願いにも愛情たっぷりで気さくに対応してくれました。同じ年だったこともあり、だんだん親しくなって、いまでは家族ともども頼りにさせていただいています。
-ライター:今回の対談で聞いてみたいことなどはありますか。
立河:今まで面と向かって聞く機会のなかった、なぜ看護師という職業を選ばれたのか、出会った時はまだ看護師長の役職ではなかったので、そこに至るまでの過程や、人の命と向き合う大変な仕事を今も続けている理由などを、お伺いしてみたいと思います。
「What is your identity? MY HERO’S INTERVIEW」第2回目は、立河さんとは“のりこ”、“みゆき”と呼び合う旧知の仲だという、看護師・佐谷みゆきさんとの対談を4回にわたりお届けします。
Vol.1『ブレずに看護師一筋』
立河:今日はね、いろいろ聞きたいことあるんだ。よろしくお願いします!
佐谷みゆき(以下、佐谷):緊張するね(笑)。
立河:まずはね、看護師という職業を選んだ理由。何で看護師になりたいと思ったの?
佐谷:うーん……。ハッキリとしたきっかけは覚えていないんだけど、小学校の1、2年生くらいの時に、桃井かおりさんが主演の、たぶん、「小児病棟」っていうドラマがあったんだけど、手足を欠損して、障害を持った赤ちゃんを、桃井さんが演じる看護婦さんが地下にある病室で育てるというような内容だったの。そのドラマにすごく感銘を受けてね。
立河:小学校1、2年生でその内容のドラマに感銘を受けるってすごいね!
佐谷:記憶をたどっていくと、それが看護師になりたいって思った時なんだと思う。ストーリーだけ聞くとね、ちょっと驚くんだけど、桃井さんが演じていた看護師さんがすごい愛情たっぷりで、反応をしないはずのその子たちがさまざまな反応するようになったりするの。その時に、『あぁ看護婦さんってすごいな』って思ったのを覚えている。
立河:看護師って愛情はなくしてできない職業だよね。みゆきは、愛情が先行で、もっと深いところにある、人間愛という部分にきっと感銘を受けたんだろうね。
佐谷:親族に医療関係者はいないから、看護師っていう職業を知る機会はなかったと思うの。病気にもかかったことなかったし。そのドラマがきっかけだったんだと思う。それで、小学校の卒業文集には看護師になりたいって書いたんだけど、でも、その時はね医者にもなりたかった。
立河:なるほど、なるほど。
佐谷:でも、父に医者はいっぱい勉強しないといけないよ。って言われて、じゃあ、看護師かなって(笑)勉強あまりしたくないし。……って、安易だよね。
立河:今だってちゃんと勉強しているじゃない。
佐谷:まあね。でも、なんであの時医者にならなかったんだろうって思ったりもするよ。
立河:でもさ、今は看護師という職業がどれだけ深いかっていうこともわかっているんだよね。
佐谷:うん。そうだね。
立河:子どものころから看護師になりたかったみたいだけど、そのほかの仕事をしてみたいって思ったことなかったの?
佐谷:うん。ブレていないね、ずっと。
立河:そうなんだ! アイドルになりたいでもなく? CAでもなく?
佐谷:ないないないないない(笑)。周りが大学受験だって言っている時にも、当時看護学部のある大学が少なかったこともあるんだけど、私は看護学校に行くからってずっと思っていた。
立河:看護学校ってけっこう理数系勉強しないといけないんじゃなかったっけ?
佐谷:うん。もちろん理数系を選択して勉強はしていたよ。
立河:へぇー。
佐谷:看護師になりたいっていうのは、本当にずっとブレてないなぁ。ふふ。おもしろくないよね(笑)
立河:いやいや、すごいことだと思うよ! だいたいみんなブレるじゃない? 誰かが、こうなりたいって言ったら、それもいいな〜とかさ。私なんてブレまくっていたからね! 何になりたいのかなんてよくわからなかった。勉強もこれってきめて勉強するわけじゃなくてね。
佐谷:あはははは。
立河:こうして改めて昔を振り返る会話なんてはじめてかもしれないね。普段はバカな話ばっかりだから(笑)すごく新鮮だね。
佐谷:あはははは。確かに。
(続きます)
取材/文 SUZUKA YAKABE
Vol.2『大切なのは“人間”と向き合うこと』 は4月13日公開予定