MY HERO’S INTERVIEW

松原その子さん(以下そのちゃん)とは彼女がオーナーを勤めていたワインレストラン「flow」時代からのお付き合い。そのちゃんはうちのお客様でもありお互いに行き来しながら今ではなんでも話せる友達に。華やかでセレブリティな社交場に身を置きながら、私生活では太陽や海、土、自然を満喫している。私にとって「気」の良いパワースポットのような友達です。チャーミングで軸がブレない強い彼女のアイデンティティを伺います。


GUEST プロフィール
松原その子 Sonoko Matsubara
1977年生まれ。ソムリエ、ワインスペシャリスト、栄養士、スポーツ栄養スペシャリスト、 トライアスリート。ワインの醸造アドバイザーとして活躍する。昨年、プロデュースしたロゼワイン、『vin rose』を発売。ニュージーランドで作られたこのワインはエレガントでありながらうららかさを感じさせるピンク色。今までのロゼのイメージを払拭する素晴らしい味。その傍ら、現役のトライアスリートとしても日本国内外を飛び回り多忙な日々を送る。 ランニングトレーナーも務め、スポーツ栄養スペシャリストとし“食が体を作る”を自ら体感し、アスリートへの栄養アドバイスも行う。
『vin rose』を味わってみたい方はこちら。 http://www.winetable.jp

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NO.3 トライアスロンがライフスタイルの一部に

立河:flow時代の後半、そのちゃんはトライアスロンに目覚めていたよね?たまたま共通の友人主催のゴルフコンペでばったり会った時、夜中まで働いて朝からゴルフって、そのちゃん、寝てるの??いいえ、寝てませ〜ん、なんて会話したけど(笑)体力あるなぁって感心してたの。

その子:実は、トライアスロンはお客様に誘われて、接待ゴルフならぬ接待トライアスロンがきっかけだったんです。

立河:えー?ゴルフはわかるけど、トライアスロンってものすごく体力使うでしょ?

その子:そうなんですけど、子どもの頃から水泳はやっていたし、走ることもできるし、通勤にはたまたまロードバイクに乗ってるし、ということで、断る理由があるとしたら、辛いから。だったんです。でも辛いからといって断るのが格好悪いなと思ったので、そうですね、断る理由はありませんって言っちゃったのがきっかけなんです。(笑)

立河:接待トライアスロン!

その子:ロードバイクを買ったのは、ゴルフの練習に行くとき、クラブを数本かついで持っていけるようにだったんです。それが本格的にトライアスロンにつながるなんて思いもしませんでした。

立河:そうね。お導きね。水泳はいつからやっていたの?

その子:ベビースイムからですね。大人になってからはちょっと食べ過ぎたから運動しようとか、体力落とさないようにしようとかそんな感じで泳ぎに行ってました。

立河:また本格的にレースとして水泳を始めたのは?

その子:33歳のときだったかな。

立河:面白いのが、そのちゃん、長年うちのお客様としてもエステに通ってくれていますが、もともと細い体なのに、会うたびに背中が大きくなっていくの。(笑)それだけハードなトレーニングを重ねて行ったってことだよね。あれ?今月…?

その子:そう、39歳になりました。

立河:私たち誕生日が近いのよね。そのちゃんは今週お誕生日を迎えたね。おめでとう!年齢を重ねて色んな経験も積んで、ますます輝いてるね。ということはトライアスロンを始めて6年ですね。初めてのトライアスロンはどこで?

その子:デビュー戦はロタ島です。

立河:このとき、怖いことがあったとか?

その子:そうなんです。デビュー戦3種目の中で一番得意なスイムで溺れたんです。すごく悔しくて絶対リベンジするって本気になりました。今まで運動が好きで、何をやってもなんでもこなせるタイプで、運動に困ることがなかったんですが、このとき初めて挫折感を味わいました。

立河:その得意なスイムで溺れてしまったのはどうして?

その子:海へ向けてスイムスタートがどこからしていいのかわからず、人がごった返す真ん中辺りから泳ぎだしたんです。ロタ島のトライアスロンは私と同じようにデビュー戦で参加する人が多く、みんなスイムバトルっていうのがあることを知らないんです。私もその中の一人だったんですね。スタートするとスピードを競うわけですから、たくさんの人が泳いでるその中で、まさに藁をも掴む思いで、人の足や腕を引っ張ったり蹴ったりというバトルが起こるんです。プールで泳いでいるときは決まったレーンの中を泳ぐので、そんな経験がなくて想像もしていなかったんですね。

立河:海の中だからレーンもなく、レースで我先にとみんなが揉みくちゃに泳ぐのね。

その子:そうなんです。そのときに足を引っ張られて水中で泳げなくなっているところに人が乗っかってきて、蓋をされて上に上がれなくなってしまって。 今思えば、そんなに参加人数の多いレースではないので上がれないわけはないんですけど、そのときはパニックで過呼吸になって。気が付いたら船の上でした。ホワイトアウトしちゃったんですね。「あー私はロタの地で・・・」って思いました。

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立河:怖かったでしょう?

その子:本当に怖かったです。しばらくはプールに入ることすらできませんでした。

立河:それをどうやって克服したの?

その子:プールへ無理してでも行きました。でもプールサイドに行っても怖くて泳がずに帰ったりしていました。

立河:そんなPTSDがあったのね。

その子:足のつくプールでも急に怖くなってもうだめだって上がっちゃったり。なので、すぐに上がれるように、真ん中のレーンではなく両サイドのどちらか、すぐに上がれるレーンで泳ぎの練習をすることから始めました。それでもずっと怖かったです。

立河:どのくらいの期間で克服できたの?

その子:溺れてから半年後に次のロタのリベンジをかけて、恐怖心を克服するためにホノルルのトライアスロンに出場してなんとか泳ぎきることができましたが、それでもまだ泳ぐことが怖くて、克服できるまで1年ほどかかりました。今も大会でのスイムバトルは緊張するので、急いで泳ぎます。

立河:だからレースが早くなったのね。(笑)その後、ロタ島のリベンジはどうでしたか?

その子:2回目は3位だったんです。それでまた悔しくて、次は必ず優勝だ、それで初めてリベンジになるんだって目標を決めました。

立河:それで優勝!

その子:3回目に出場して優勝した時は今までのレースの中でも一番嬉しかったです。それも朝雨が降り、路面が濡れていたのでバイクレース中に滑って落車。傷は擦り傷でしたが頭を打ってしまったので頭の中に星が出てる状態だったんです。最後のランに入った時は、私の後ろには運営局の車が付いてきていて、女子でトップだからかなぁなんてのんきなこと考えながら走っていたら、さっきバイクで転んで頭を打っているだろう?大丈夫か、やめるか?と言われたんです。でも自分が女子トップなのはわかっていたので、いやいや、絶対に棄権なんてしない、しかも、2番目に走ってきている女子がランの得意な人だったので、いやいや、抜かないでーって思って必死に走って1位でゴールしたのを覚えています。

立河:あははは。そのちゃん、追われると早くなるタイプね(笑) ちなみに、ロタのレースの内容は?

その子:ロタはショートなので、スイム1,5キロ、バイク40キロ、ラン10キロです。

立河:なるほど。そうすると距離的に短いからデビュー戦で参戦する人が多いのね。

その子:そう。でも、距離が短いということは頑張れちゃう距離だから、追い込んでスピードを競うことになるので結構キツイんです。

立河:なるほど!

その子:ロングは長距離なので、トップクラスの人は1分1秒を競いますが、完走を目的とした参加者も多いんです。ただ、関門もあるので、当然、タイムも大切です。それに加えて、体力配分を考えないと、スイム、バイクをクリアできても、最後のランで体力を使い果たして走れなくなるということも起こり得ます。なかなか奥の深い競技なんです。 ロングはスイム3,8キロ、バイク180キロ、ラン42キロです。

立河:すごい競技ですね。

取材/文 タチカワ ノリコ
Photo Takeru

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