MY HERO’S INTERVIEW

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Vol.2『音楽の持てる力って何だろう?BARBEE BOYSに感謝すること』

立河:杏子さんって、ロックのイメージとは裏腹に常識人過ぎるほどに常識人でいつも人を傷つけないように、嫌な思いをさせないようにって、身を挺して細心の注意をはらってますよね。

杏子:うーん。良くも悪くもすごくものわかりのいい人間だと思う。だから昔からそのものわかりの良さに葛藤があるの。今は普通にわがままも言ってみるけど、バービーの時は言えなかった。
スタッフの言うことをわりとちゃんと聞くタイプだから。(笑)
でもね、周りのミュージシャンの中にはわがまま言って帰っちゃったり、平気で収録時間に何時間も遅刻してきたりしてる人もいて。ただ、そんなハプニングをイベンターさんから「いやぁ、大変でしたよ〜」なんて、どこかその苦労話を誇らしげに語られると、私もそんな風にわがまま言った方が、イベンターさんやスタッフには喜ばれるのかなって、 考えてた時期がありました。こんなものわかりのいい杏子ってありがたみがない?のかもって。

立河:わかります。そう簡単にスタッフの言うことは聞かないとか周りを振り回すくらいのスタンスの方が価値が上がるの?って。 あれって何でしょうね。(笑)でも杏子さんの本質は真面目かつ繊細な人柄で、人を気遣い、迷惑をかけるのが心苦しくなる性格だからそんなこと出来ないんですよね。中には表に出る人で、わがままを演出してる人もいますよね。そういう人って図太さも兼ね備えてないと出来ないと思います。

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杏子:そもそも私は反骨精神のあるロッカーなんかじゃなかったから本質が露見したらどうしょうってビクビクしてたわけじゃない?(笑)ロックでいなきゃなんて変なビクビク感があったから、ストッパーがかかっちゃってて実際はどこか周りを気にして突っ走れなかったんだと思う。(笑)

立河:そういうところが杏子さんの可愛いところですよね。(笑)
ロックについて伺いましたが、杏子さんはデビューして31年、長年続けている杏子さんにとっての音楽って?

杏子:音楽はいろんな形で進化を遂げていて、社会的なものを巻き込んでいた時期も沢山あると思うの。ただ、私たちは何かに圧力を加えられて始めた音楽ではないじゃない?
ないからこそ今、音楽が持てる力っていうのは何なんだろう?と考えるのね。皆が、「あ、この曲知ってる」っていうヒット曲たるものの持つ力って、とても大事だなって最近はよく思うんだなぁ。

立河:音楽って色んな効力がありますよね。

杏子:うん。例えばね、震災があった時、被災地の方々が少しでも元気になれたらということで音楽のプロジェクトが立ち上がってお邪魔したのね。実際に被災された方々は、本当に大変な思いをされていて…
他にやることや問題が沢山ある中で、足を止めて私たちの歌を聴いてくれて。
ライブのあと、「ありがとう」って笑顔で言ってもらえた時、音楽の素晴らしさを実感したな。
私は歌の力を信じて、歌で誰かに働きかけるぞって云うときにBARBEE BOYSや福耳の曲も歌ったりするんだけど、皆がうわぁ!って盛り上がって笑顔で喜んでくれると、辛い気持ちを少しでも癒す役に立てたかな?って思えるの。

立河:確かに、音楽は音や歌声に無条件に癒されるときもあれば、何も考えたくないときや辛いときに知っている曲を歌ってくれていると、すごく元気になるときもあります。

杏子:そうするとね、やっぱり改めてバービーの存在に感謝するのよね。私にとって、とても大切で貴重なアーカイブだから。

立河:杏子さんは「元・BARBEE BOYS」って言われるのは嫌じゃないですか?

杏子:全然!それは大切な過程だったしね。ただ、一つ思うのは、解散しなければよかった。

立河:どうして解散したんですか?

杏子:メンバーがまじめ過ぎちゃって。がんじがらめになっちゃったのかな。 体(てい)の良いしばし休みますって言う風には出来なくて、「解散」っていう言葉を使わないとどうにもならない思いでイッパイイッパイになっちゃったのね。

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立河:2010年に再結成したときの武道館ライブにお邪魔させていただきましたが、あのライブは素晴らしかった!鳥肌が止まなかったもの。

杏子:うん。あの武道館はすっごいライブだったの。本当にね、サウンド的にもパフォーマンス的にも良いライブだったなぁ。お客さんも満員でね。ステージではイマサ(いまみちともたか)が上手の先端でギターを弾きまくり、私はステージ下手の先端でそれに合わせて歌う。打ち合わせなんてしてないのにアドリブのパフォーマンスが噛み合って、フロントにコンタとエンリケが走ってきて演奏してるっていうフォーメンションが自然にできてね。

立河:私も一ファンとして是非また再結成してもらいたいです。武道館が満杯になるほどのファンがいてすごいことだと思います。メンバーが全員元気に活動しているうちに。

杏子:うん、なかなか稀有なバンドだと思うのね。最近、イマサと仕事することが多いのだけど。
そこで、素晴らしいギタリストに今更失礼かもしれないけど、ギターがよりうまくなっちゃってる。(笑)エンリケも音楽への新しい取り組み方をして、いろんな形でライブもやってるし。コイソも秘密のトレーニングしているらしいし。

立河:バンドってね、解散してそれぞれの路を歩み始めて、何年も経つとビジュアルにも大きな変化があったりして久しぶりに見ると、んー。。。残念。みたいなことってよくあるじゃないですか?でも、杏子さんたちバービーのメンバーはみなさんあの頃と変わりなくて時間の経過を感じません。

杏子:そう!そう!そーなの!昔あんなにグッドルッキングだったのに…ってなると残念ね。(笑)
やっぱりミック・ジャガーとかポール・マッカートニーはスゴイ!
マドンナはモチロン、70才越えのティナ・ターナーにいたっては、ミラクル!!!

取材/文 タチカワ ノリコ

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Vol.3『やっぱりビジュアルは大事』

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