MY HERO’S INTERVIEW

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Vol.3『恋は、罪の意識が燃えさせる』

立河:男の人は、鼻タレ小僧じゃなきゃダメなの(笑)?

栗山:そうだよ。鼻タレてないとダメだよ。「こんなんなって、もう何やってんの!」なんて女の人に言われてさ。「ハンカチ持った?」とか言われて、「ハイッ」って言ってなきゃダメなんだよ。

立河:そこがね〜そういう男の人がまたモテるんだよ。ずるいな〜〜(笑)くすぐり方知ってるんだから〜、計算でしょ(笑)。

栗山:計算じゃない、計算じゃない(笑)。だいたい偉い人が怒られるのは、襟が曲がってるとか、ネクタイが曲がってるとか、チャック開いてるとか、鼻がタレてるとか、それくらいなもんでしょ。それって、男の人は忠告できないからね。ところが女の人に言われると「ありゃま」ってなるのよ。そこにはマザーと鼻タレ小僧の関係があるから。どんなに偉くなって札束握っても、女の人に注意された瞬間に鼻タレ小僧になる。この、マザーとボーイの関係っていうのが男女にとっての永遠なんだ。

立河:わかる!だって私、鼻タレてる人好きだもん。

栗山:ハハハハハハハ(爆)

立河:そうだよ(笑)。甘えたいっていう気持ちはわかるよ、男の人はさ、社会で常に戦ってる。女性には真似できないことが沢山あると思うの。役割っていうのかな。だから母性で頑張ってるねって抱きしめてあげて、ほら、鼻水拭いてまた頑張ってって送り出す。「マドンナたちのララバイ」ってきもち。(笑)もちろん、そこには相手に対する尊敬の念がなくちゃできないけど。

栗山:本当はね、鼻水出てるなんて言われたらすっごい恥ずかしいんだよ。だけど、男同士って言えないじゃん。それ言っちゃったらもう、威厳も何もね。それを女の人は平気で言えるのよ、「もうわかったからから、とりあえず鼻水だけ拭いて!」みたいな。

立河:それって、銀座でナンバーワンクラスのホステスさんは、そういうのが上手なのよね。男の人にはない、女の器みたいなものがある。

栗山:女の人には適わないから。こわい生き物だよ。

立河:え〜、そうなの?

栗山:こわいって言うか、例えば男の人のロマンとかセンチメンタルって、あれ、誤摩化しだから。半分照れ隠しなのよ。オレが「こうこうこうで〜」とさんざん熱く語ったあとに、女の人って「はいはい、それで?」と、こうくるじゃない(笑)。それってさ、オレのホームに持って来れないんだよね。だからオレ、女性とは仲間以外は酒飲みに行かない。

立河:ねえ、恋はしてる?

栗山:恋かぁ……あ、してしまった!というのはあるね。

立河:それって罪の意識が芽生えてしまうの?

栗山:むしろ罪の意識が燃えさせるんだよね。野放しな恋じゃなく、精神的にダメダメって制約されると、逆にね。真夜中のビル街に花がパーッと咲くような。ああ、やってしまった、でも快感、みたいな。

立河:別れるときはどうするの?

栗山:できればそちらから扉を閉めてくださいって(笑)。

立河:向こうが扉をすっごく開けてきちゃった時はどうするの? むしろ、早く入って来てよ、みたいな。

栗山:そういうときは遠慮なく。じゃないと武士が廃る(爆)!

立河:でも入って行ったらガチャ!って、鍵かけられちゃったらどうするの(笑)?

栗山:それはダメだね。いつだって風通しはよくないと。窓とか、どっか逃げ道みたいなの用意しておいてくれないと(笑)。武士だけど忍者あがりだから(笑)

立河:ハハハハハハハ

栗山:オレは恋愛感情には思うところがあってね。友達って「友達になろうよ」って言ってなるものじゃないでしょ。友達っていうのは、互いに興味があるからいつしか友達になっているもので、それは恋に匹敵する思い、すなわち両思いになるっていうことと同じだよ。だから異性に恋をしなくても、ひとりでもともだちがいる人ならば、恋する感覚はもう知ってるわけ。ところが男女の恋愛っていうのは、どちらかが告げるっていう儀式がないと成立しない。「告げる」という儀式ひとつで不器用でぎこちない人間関係がはじまるんだから面白い。「友達という恋ごころ」はもう知ってるのに、それを男女に置き換えるとなかなかできない。この面白さが男女の関係なんですよ。

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立河:わかる!本当。その途端に見事に不器用な関係になるよね。なんか責任みたいなものも発生してくるように感じるし。。う〜ん、深いな〜

栗山:最近はFacebookで友達申請なんてあるけどさ。でも友達になってくださいなんて言わなくても、気が付けばなっているのが友達。儀式を越えなきゃいけないのが恋人。最近そんな風に思っていてさ。そもそも他人に興味を持つこと自体が、もう恋ごころだから。

立河:それは同性に対してもってこと?

栗山:「友達になりて〜!」って思うのって、最もピュアな恋ごころだと思うよ。

立河:あ、それは私もある。女友達に、もう友達になってるけど彼女に恋してるな〜って思ったことある。同性愛とかじゃなくてね。そうか、儀式を越えるのが男女の恋愛ねぇ。

栗山:恋は素朴なものだからね。あとさ、一番大事なのは鮮度!

立河:恋は鮮度?じゃあ恋愛は何?

栗山:いや恋愛は恋だから、鮮度だよ。なんで人って、飽きちゃうんだろ。

立河:3年っていうよね。

栗山:3年? 3日で飽きるよ。

立河:早くない(笑)?

栗山:たくさん情報を取得するから飽きるんだよ。知らないから新鮮なわけで。皆さん色々な表現方法で言うけど、謎こそが鮮度なんですよ。全部知ってしまったら何が鮮度なんだろうって思うから。大人になったらそんなことばっかり考えるよね。だから新しい旅をするわけじゃないですか、恋路の旅も、仕事の旅も。部屋だって変わりたいし、洋服なんて一番わかりやすい、すぐ飽きちゃって。あんなに頑張って買ったのにすぐ飽きちゃってさ。恋愛ってそういうことと似てる気がする。ただ、人と人の心だけは消費社会って言葉は通用しないからね。

立河:なるほど、心か。じゃあそろそろ聞いちゃおうかな、チャンクリにとってのアイデンティティって何?

取材/文 野水優子

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