MY HERO’S INTERVIEW

Vol.3『敏感肌は化粧品会社の罪!?』

立河宜子(以下、立河):先生。化粧品についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

鈴木喬(以下、鈴木):僕はね、化粧品は基本、皮膚安全性だと思っている。薬の場合は、例えば副作用があったとしても効けばよくて、いかに皮膚に入れるかが重要視される。でも、化粧品は違う。化粧品でも経皮吸収(※1)をさせていいものもあるんだけど、化粧品の場合はそのあたりの区別がなくてね、入らないものを入ったって言ってしまったりする。そういう事実と反することをするから僕は嫌になっちゃうんだよね(笑)

立河:いつもそうおっしゃっていますね。

鈴木:日本と韓国、台湾には医薬部外品があるがアメリカ、ヨーロッパにはない。基剤として「ビタミンEアセテート」(※2)があるけど、アセテートを保湿剤だなんて書いたり、“○○層の深部で止まる”なんて、言ったりしてね。本当はそんなことありえないのに。それから「ビタミンC誘導体」。この成分は安全性が非常に高いんだよね。これは2%の配合で医薬部外品になる。だから、僕はビタミンCを10%入れたりして逆らう。それなら化粧品になるの? って。そんな考え方おかしいからね。こんな法律はアメリカやヨーロッパにはない。それ自体がおかしいよね。あと、薬の場合はある濃度から毒性になるけど、化粧品作りにはその考えはない。でも、鉱物性や合成がだめだとか、コラーゲンがいいって言ったり、シリコンがダメだなんて言ったりもする。僕はね、そういう化粧品の考え方に対して非常に抵抗があるんだよ。

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立河:数年前に一躍ブームになったコラーゲン(を使った化粧品)について先生にお伺いした時、「コラーゲンは、分子量が大きいから経皮吸収なんて絶対にしないんだ」と教えてくださいました。世の女性たちはコラーゲンを塗ったり食べたりすることで肌の深部からハリが出ると信じているので、改めてプラセボ効果の大きさを認識しました。

鈴木:僕に言わせると、入る、入らないっていう定義のベースは、角層が非常にいい状態の人に対してだけ。世の中には、自称・敏感肌の人がすごく多い。なぜかっていうとね、例えば、シリコンを主にしたBBクリームが流行っているよね。でも、シリコンは落ちにくいんだよ。だから、洗浄力の強いもので落とすことになる。

立河:それが肌荒れの原因ですね。

鈴木:うん。で、その結果乾燥するでしょ? それで一方では保湿だ、保湿だって言う。だからさぁ、ある意味化粧品会社は罪だよね(笑)。日本人はなんにせよ清潔好きだからなぁ。洗い過ぎなんだって。マイルドな洗い方をすればそんなにね、肌荒れが起きることはないんだよ。洗浄力と刺激っていうのは比例する。すぐにトラブルが起きなくても、長く使っていれば、だんだんと肌がやられていくんだよ。

立河:乾燥肌やしっしん、ニキビ、シワやたるみ、さらにはシミの原因にもつながりますよね。

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鈴木: それでね、肌が荒れていると、本来分子量が大きくて入らないものが入ってしまうこともあるわけ。

立河:その結果、刺激されてアレルギーの問題とかも起きてくるんですよね。

鈴木:うん。そうだね。だから、このままだと自称・敏感肌は増えていく一方だと思うよ。

立河:本当に多いですもんね、敏感肌って言っている方。

鈴木:またさ、化粧品は曖昧な作用しか持ってはいけないのに、医薬品のような作用があると謳ったりするよね。一般的に高級化粧品とされているものだって、書いてある事がすべて事実かっていうと違う。「こういうことは書いちゃだめだ」って言ったこともあるけど、ま、実際問題はむずかしところなんだよね……。こうやって本音で発言する人だれもいないでしょ?みんなカッコイイことだけいってさぁ。あははははは。

立河:そうなんですよ! ユーザーはその“カッコイイ”ところに飛びついてしまうんですよね。私自身もそうでしたが、マスメディアの言葉に踊らされたり、イメージキャラクターの女優さんみたいになれるんじゃないかと思ってその化粧品を購入しても一向に肌が良くならないんです(笑)。だから先生にお会いして真実を伺えたのは本当に光栄です。これからもぜひ本音を唱えていって下さい!

※1「経皮吸収」・・・皮膚から物質を吸収すること
※2「アセテート」・・・別名酢酸トコフェロールともいい、ビタミンE効果として皮膚に対しての末梢血管拡張作用・血行促進作用がある成分。医薬品や化粧品に配合される。

(最終回に続きます)

取材/文 SUZUKA YAKABE

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Vol.4 最終回『信念を曲げずに“生涯現役”』3月31日公開予定

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