MY HERO’S INTERVIEW

Vol.2『僕は偉くなれない』

鈴木喬(以下、鈴木):遊んでばっかりいてさ、僕が偉くなるわけがない(笑)こんな性格だからね。でも、勤続年数経つと、一応『部長にするから』なんて言われたりするんだけど、僕は『やりたくない』って言ってしまう(笑)。役職がほしいとかそういう願望がまったくないの。ただ、モノづくりがしたいだけ。

立河宜子(以下、立河):そういったキャリアに興味のないところが、私が先生を信頼する理由のひとつだったりもします。

鈴木:まあ、結局はグループリーダーや部長になったんだけどさ。しょうがないからねぇ。でも結局、変わらず上司とは喧嘩ばっかりなんだけど。もし僕が僕の上司だったら、僕を偉くなんてしないね(笑)。

立河:先生、すごくご自身のことを客観的に見ていらっしゃるんですね。

MY HERO’S INTERVIEW

鈴木:だってさ、偉くなったら、人を評価しなきゃいけない。下の人を評価しながら、自分も上から評価される。僕は自分に対しての評価はいつも厳しいんだけど、上からの実際の評価は、いい人はいいし、でも、だめな人は……まあ、そういう評価をつける。自分が上の立場になったとき、人に評価をつけるのが一番難しい。

立河:確かにそうですよね。

鈴木:そういった意味ではさ、組織のある会社っていうところは、あまりいいところじゃないよね(笑)。人を評価して、こーしろ、あーしろって言ったりするけど……。所詮はね、好み?

立河:そうですよね。最終的には個人的な好みは多少なりとも影響しますよね。評価を気にするあまり嘘が増える。それで人間関係がおかしくなることは本当によくある話です。

鈴木:僕に言わせるとさ、上司になる人は、僕みたいなタイプを上手く使えないとだめだよね。豚もおだてりゃ木に登るじゃないけどさ、僕だって人間だから、上手くおだててくれればやるんだよ。あはははははは。

立河:そうですね。そういう上司だったらいいですよね。

MY HERO’S INTERVIEW

鈴木:あとね、『君はいつになっても休暇をとる。それじゃだめだ』って言われたこともある。休暇を取ることがタブーな時代だったからね。それでも僕は、大きなお世話だって思って率先的に取る。そりゃ周りから非難されるよね。だけどさ、僕は、自分の研究する時間くらい自分でコントロールできる。だから文句は言うなって思ってた。

立河:先生、本当にご自身の中にピシッとした筋が通っていらっしゃいますね! 日本の社会は“休まず働くこと”が美徳とされてますものね。

鈴木:うん。でも、結局は組織にいるとさ、“組織にいる人”として、指示されたあまりやりたくないこともやらないといけない。だけど僕は別に研究したいことがある。そういうところも、会社にいると難しいよね。

立河:私も組織が苦手です。それぞれの思惑が錯綜したりして。わずらわしいです(笑)。それで、先生は退職された後、自由に研究されたいという思いで「皮膚臨床薬理研究所」を選ばれたんですね。

鈴木:そうそう。ぼくが資生堂を退職したときは、みんなうらやましがってたなー。言いたいこと言って、やりたいことやって。

立河:あははは。組織に属していると自分に信念を持って我が道を行ける人に対する羨望の眼差しってかなりありますよね。

鈴木:そうそう(笑)。言いたいこといって、やりたいようにやってきて、そういう意味では、いい人生だよね。あはははははは。

(続きます)

取材/文 SUZUKA YAKABE

MY HERO’S INTERVIEW

Vol.3 『敏感肌は化粧品会社の罪!?』 は3月24日公開予定

MY HERO’S INTERVIEW

⇒【バックナンバー】